以前、私が国の研究所で技術補助として携わっていた研究が、土木学会という大きな学会の学会賞 / 環境賞を受賞しました。
題目、概要
タイトルは「デハロコッコイデス属細菌UCH007株を用いる塩素化エチレン類で汚染された地下水の浄化技術の開発」です。
内容は、日本の土壌汚染物質 No.1 の塩素化エチレンという発がん物質を、「デハロコッコイデス」という細菌に分解してもらおう、というものです。
「デ」:取り去る、削除するの意味
「ハロ」:ハロゲン、本件では塩素原子の事
当時の様子
私は当時、この細菌を捕獲・生育・活性化させるために、この発がん物質の原液の調整という、かなり危険な仕事をしていました。
また、本研究最大の功労者 U 先生に、「この菌が活性するには〇〇が必要なんじゃないでしょうか?」などと提言し大いに語り合い、実際そのような結果になったのはとても嬉しいことです。
ところで、この「塩素化エチレン」という物質がかなり厄介で、揮発性がとても高いため、安全キャビネット内で注射器を使用しての扱いが必要となりました。発がん物質の原液を、注射器で複数のバイアル瓶に分注するわけですから、自分の指を刺して原液が少しでも体内に入ろうものなら、一大事、などでは済まない大惨劇が起こるわけです。
当時は、額に冷や汗を何粒もかきながら実験しておりました。実験が終わった後は、「今日も生き残った……」という妙な充実感を得ていました。
余談ですが、当時、似たような作業をしている最中に大きな地震にみまわれました。いわゆる、311の大地震です。
私はこの際、運悪く、安全キャビネット内でこの物質の分注をしていました。誰かが、実験を中断して避難するよう言ってくれたのですが、「ここで自分が避難したら別の意味で大変なことになるな…」と思い、避難をせずそのまま分注作業を続けていたのをよく覚えています。
私の名前がない
さて、本研究の「貢献された技術者のお名前」の欄に私の名前が見つかりません(笑)。
この場を借りて、別の場で発表された講演のタイトルと貢献者の名前を貼ることで、私も貢献したのだということを示させていただこうと思います。